〒253-0031 神奈川県茅ヶ崎市富士見町11-16
この記事は2019年10月18日に書いておりますが、つい先日、台風19号が列島を直撃し、甚大な被害をもたらせました。
鉄道各社も計画運休を実施したり、会社の営業もお休みにしたところも多いと報道等で聞いております。
ここで給与担当者が気になることとして、会社をお休みにした日の賃金はどうなるの??ということです。
当事務所にも、何件か問い合わせが来ておりましたので、お役立ち情報としてホームページにあげておきたいと思います。
休業手当は、労働基準法第26条に規定されています。
「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」
ここでのポイントは、「使用者の責に帰すべき事由」です。
どこまでを使用者の責に帰すべき事由と判断するのか、ということになります。
使用者の責に帰すべき事由とされた判例を基に簡単に例を挙げてみようと思います。
・親会社の経営難から資材、資金の獲得ができなった場合
・関連企業の労働争議による業務停止による場合
・会社が業務を受注できなかった場合
・事業計画の凍結により事務所を閉鎖したものの担当者からの
要請で就職せず待機していた場合
・派遣労働者が派遣先からの差し替え要求により就労場所を
失った場合
一方で、使用者の責に帰すべき事由に該当しないと判断されたものの例を挙げてみます。
・地震で事業所が直接的な被害を受けた場合
・計画停電で電力が供給されない場合
上に挙げたように、経営難や使用者の都合による要素が濃いものは、使用者の責に帰すべき事由と解されるようです。
では、今回のような台風によるものは、どういう解釈をすればいいのでしょうか。
台風は天災であり、不可抗力であることから、台風の被害を直接的に受けているような場合は、使用者の責に帰すべき事由と判断されない可能性が高いでしょう。
また、始発からの計画運休により、営業が困難だった場合も同様であると思われます。
ただ、注意しておきたいのは、台風の被害も全国的に見れば一様ではありません。被害の大小や最寄りの鉄道各社の運行状況も異なりますので、一概に断定することはできませんので、会社の置かれた状況により、判断していくことが必要になります。
賃金支給の有無の問題は、ケースバイケースのことが多く、ご担当者の方は判断に迷われることがあるでしょう。
労働者にとって賃金は、生活を支えていく唯一の収入源です。しかし、会社にとって、労働が提供されていない日に賃金を支給することは避けたいというのが本音です。
このように利害が対立するポイントは、トラブルに発展するリスクが高いので、事前にしっかりとした対策を講じていくことがトラブル予防には重要となってきます。
当事務所では、「事務作業は社内で出来るけど、何か困った時にすぐ相談したい」というニーズにお応えしております。初回の相談は無料で受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。(東京・神奈川(茅ヶ崎・藤沢・平塚・鎌倉・横須賀・横浜)はもちろん、関東一円ご対応しています)